高校卒業後の就職を目指す皆さんにとって、夏休みは企業選びが本格的に動き始める時期です。7月に高卒求人が公開されると、8月には多くの企業で職場見学が行われます。
職場見学は、建物や設備を見て説明を聞くだけのイベントではありません。求人票やホームページでは分からない「実際の働き方」や「職場の空気」を確かめる機会です。
ただ見て回るだけでは、企業選びに必要な情報を得られません。働く人の表情や社員同士の接し方、職場の雰囲気や作業環境をよく観察し、「自分がここで働くとしたら」と考えることが重要です。
8月は高卒向け職場見学のピーク

高卒採用では、企業による学校への求人申込みが7月1日から始まり、9月には応募と採用選考が始まります。その間にある夏休みは、授業への影響が少なく、複数の企業を比較しやすい時期です。そのため、7月下旬から8月にかけて職場見学へ行く高校生が増えます。
職場見学は「応募前職場見学」とも呼ばれ、応募先を決める前に実際の職場を確認するものです。参加しても、その企業へ必ず応募する必要はありません。良いところだけでなく、自分に合わない点も確かめましょう。
会社名が有名だから、先生や家族に勧められたからという理由だけで決めるのではなく、見学を通して自分自身が納得できる企業を探しましょう。
(高卒採用の日程は、厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」で確認できます。)
職場見学の前に準備すること
1.求人票と企業のホームページを確認する

まずは求人票を読み直し、会社の事業内容、募集職種、仕事内容、勤務地、勤務時間、休日などを確認しましょう。企業のホームページがある場合は、どのような商品やサービスを扱っているのかも調べておきます。
基本情報を理解しておけば、説明の内容が頭に入りやすくなり、「求人票にはこう書いてあるけれど、実際はどうなのだろう」という視点も持てます。分からない言葉や気になる項目には印を付けておきましょう。
2.職場見学の情報や質問

職場に到着すると緊張して、聞きたかったことを忘れてしまう場合があります。見学前に、確認したいことをメモ帳にまとめておくと安心です。
例えば、次のような質問が考えられます。
◾️入社後はどのような研修を受けますか
◾️高校を卒業して入社した先輩はいますか
◾️仕事を一人で担当するまで、どのくらいかかりますか
◾️1日の仕事の流れを教えてください
◾️この仕事で大変なことや、注意が必要なことは何ですか
◾️必要な資格は入社後に取得できますか
質問だけでなく、集合時間、集合場所、担当者名、緊急時の連絡方法も前日までに確認します。交通経路と所要時間を調べ、電車の遅延なども考えて余裕のある出発時間を決めましょう。遅刻しそうな場合は、自分だけで対応を決めず、まずは学校の先生へ連絡し、指示に従って行動しましょう。
愛知県内の職場見学の実施時期や採用ルールは、愛知労働局「2027年3月新規中学校・高等学校等卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等について」から確認できます。
3.当日の服装と身だしなみを整える

服装は学校や企業からの指定を最優先にします。特に指定がなければ、基本は学校の制服です。制服がない学校の場合や判断に迷う場合は、自分で決めず、事前に先生へ確認しましょう。
前日には、シャツやブラウスにしわ・汚れがないか、ボタンが外れていないか、スカートやズボンの裾が乱れていないかを確認します。靴の汚れを落とし、派手すぎない靴下も用意しておきましょう。髪が顔にかかる場合はまとめ、爪は短く清潔に整えます。強い香水、派手なアクセサリーやメイクは避けましょう。大切なのは、おしゃれさではなく、清潔感と安全面への配慮です。
夏は暑くても、シャツの裾を出したり、許可なく上着を脱いだりせず、学校のルールに沿って調整します。工場や建設現場では、安全上の理由から長袖、長ズボン、運動靴などを指定される場合があります。企業から届いた案内を必ず確認してください。
4.当日の持ち物をそろえる

筆記用具、メモ帳、ハンカチ、ティッシュ、必要書類、飲み物などを前日のうちにかばんへ入れます。企業から提出物や持ち物を指定されている場合は、忘れないようチェックリストを作ると安心です。スマートフォンは緊急連絡に必要ですが、見学中は音が鳴らない設定にして、かばんへしまいましょう。
職場見学当日に心がけたいこと
1.会社に着いたときから見学は始まっている
職場見学では、案内を担当する人と話すときだけでなく、会社にいる間は常に礼儀正しい態度を心がけることが大切です。受付での挨拶や待っている間の姿勢、廊下ですれ違う人への挨拶などにも気を配りましょう。
説明中は相手の話を最後まで聞き、必要な内容をメモしましょう。分からないことがあれば、説明を遮らず、質問の時間に確認します。スマートフォンは基本的にかばんへ入れ、写真は企業から許可された場合だけ撮影してください。
緊張して上手に話せなくても、明るく挨拶し、相手の話をきちんと聞こうとする姿勢は伝わります。
2.働いている人の「表情」を見る

職場見学で特に注目したいのが、実際に働いている人たちの表情です。
笑顔かどうかだけで判断する必要はありません。仕事中は真剣な表情になるため、社員同士のやり取りや職場全体の雰囲気も見てみましょう。
◾️社員同士で自然に挨拶をしているか
◾️分からないことを質問しやすそうか
◾️困っている人に声をかけているか
◾️上司や先輩が一方的に強い口調で話していないか
◾️見学に来た高校生にも丁寧に接しているか
短時間ですべては判断できませんが、表情や会話から求人票にはない職場の雰囲気が見えてきます。
3.社員の服装や身だしなみを見る
働いている人がどのような服装をしているかも、仕事を理解するための手がかりになります。
制服や作業着なのか、私服やスーツなのか。ヘルメット、安全靴、手袋、マスクなどの保護具を使用しているか。服装を見ることで、その仕事に必要な安全対策や動きやすさも分かります。
また、夏や冬も同じ環境で仕事をする可能性があります。空調があるか、屋外での作業があるか、作業着を着たまま長時間働けそうかなど、毎日その服装で働く自分を想像してみましょう。
4.仕事内容と仕事のスピードを見る

「製造」「事務」「施工管理」など、求人票に書かれた職種名だけでは、実際の仕事を具体的に想像しにくいことがあります。見学では、一つひとつの作業にも注目しましょう。
◾️一人で進める仕事か、チームで協力する仕事か
◾️立ち仕事と座り仕事のどちらが多いか
◾️重い物を持つ作業があるか
◾️同じ作業を繰り返すのか、毎日違う仕事をするのか
◾️どのくらいの速さや正確さが求められるか
◾️パソコン、機械、工具など何を使っているか
「自分にできるか」だけでなく、「この働き方を続けたいと思えるか」という視点で見ることが大切です。
5.音・温度・においなども確認する
職場の環境は、目で見る情報だけでは分かりません。機械の音、室内の温度、材料や薬品のにおいなども、働きやすさに関係します。
特に工場、建設現場、飲食店などでは、暑さや寒さ、大きな音、独特なにおいがある場合があります。短時間なら気にならなくても、毎日働くとなると負担に感じる可能性もあります。
作業場所が整理整頓されているか、安全のための表示があるか、通路が確保されているかも見ておきましょう。可能であれば、休憩室、更衣室、食事をする場所などについても確認します。
職場見学で避けたい行動

◾️友達と私語をする
◾️説明中にスマートフォンを見る
◾️許可なく写真や動画を撮る
◾️あくびをしたり、壁にもたれたりする
◾️質問をされても「特にありません」とだけ答える
◾️社員の仕事を妨げる場所へ入る
◾️他社と比べて失礼な言い方をする
職場見学中も、社員の皆さんは普段どおり仕事をしています。業務の妨げにならないよう、担当者の指示に従って行動しましょう。
見学後は忘れないうちに振り返ろう

職場見学が終わったら、その日のうちに感じたことをメモしておきましょう。複数の企業を見学すると、それぞれの印象が混ざってしまうことがあります。
「良かった」「不安だった」だけでなく、その理由も書きます。仕事内容、雰囲気、社員の表情、通勤、音や温度など、項目別に整理すると比較しやすくなります。
気になる点があった場合も、すぐに「ブラック企業だ」と決めつける必要はありません。見学した時間帯だけ忙しかった可能性もあります。分からないことは学校の先生に相談し、必要に応じて確認してもらいましょう。
まとめ:ただ見るのではなく、自分が働く姿を想像しよう
職場見学を終えたら、見たことや感じたことを振り返り、「この会社で働く自分を想像できるか」「毎日無理なく続けられそうか」「不安や疑問が残っていないか」を整理してみましょう。
会社の良いところを見つけるだけでなく、職場の雰囲気や働き方が自分に合っているかを確かめることも、職場見学の大切な目的です。
先生や家族の意見も参考になりますが、最終的に働くのは自分自身です。知名度や条件だけで判断せず、見学で感じたことをもとに、「ここで働きたいと思えるか」を考えることが、入社後のミスマッチを防ぎ、後悔のない企業選びにつながります。

地域から企業を探したい人はこちら: