建設業は、すべての会社や仕事が「ブラック」というわけではありません。
近年は、週休2日制の導入や残業時間の見直し、ICT・ドローンなどの活用が進み、働きやすい会社も増えています。
ただし、仕事内容や勤務条件は会社によって大きく異なるため、求人票や職場環境を確認して選ぶことが重要です。
建設業と聞いて、皆さんはどのような仕事を思い浮かべますか?
「重いものを運ぶ仕事」
「朝が早くて休みが少ない」
「怖い先輩や職人がいそう」
このようなイメージを持っている人もいるかもしれません。
たしかに、建設業には体を動かす仕事が多く、現場によっては朝が早いこともあります。屋外で働く職種では、暑さや寒さへの対策も必要です。
しかし、そのイメージだけで建設業を判断するのは、少し早いかもしれません。
今回は、建設業の働き方や新しい技術、高校卒業後から活躍する方法、自分に合った会社を見つけるポイントを紹介します。
建設業は本当にブラックしかない?

昔の「3K」から、新しい建設業へ
建設業には以前から、「きつい・汚い・危険」という“3K”のイメージがありました。
屋外での作業が多いことや、体力を使う職種があること、安全に注意しなければならないことなどが、その理由として挙げられます。
しかし現在では、このイメージを変えるために、建設業界全体で「給与・休暇・希望」の“新3K”を目指す取り組みが進められています。
・給与:働きに見合った適切な給料がもらえる
・休暇:しっかり休日・休暇が取れる
・希望:将来に希望を持って成長できる
建設業がこれからも道路や橋、建物などをつくり続けていくためには、業界全体の変化が必要です。 若い人が安心して飛び込み、長く働ける環境づくりが進められています。
そのため、休日の確保、給与の改善、資格取得支援、デジタル技術の導入など、さまざまな見直しが行われています。
国土交通省も、週休2日の確保や新しい技術の活用などを通じて、建設業の新3Kを実現するための取り組みを進めています。
残業や休日のルールも変わり始めた
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。
時間外労働は、原則として月45時間、年360時間までです。臨時的な特別の事情がある場合には例外もありますが、その場合にも法律上の上限が設けられています。
詳しいルールは、厚生労働省の「建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています」で確認できます。
休日についても、公共工事を中心に「4週8休」、つまり4週間で8日間の休日を確保する取り組みが広がっています。土曜日と日曜日を現場閉所日にして、工事を行わない日をつくる現場も増えてきました。
国土交通省では、週休2日を確保するために必要な工事期間や費用を設定するなど、建設工事における週休2日の取り組みを進めています。「4週8休」と「毎週土日が必ず休みになる完全週休2日制」は、同じ意味ではありません。会社や工事の種類によって、休日の取り方が異なる場合があります。
もちろん、すべての建設会社が同じように変わったわけではありません。工事の進み具合や天候、災害対応などによって、休日の予定が変わることもあります。
それでも、業界全体では「長時間働くことが当たり前」という考え方を見直し、働きやすい環境をつくろうとする動きが進んでいます。
つまり、「建設業だから必ずブラック」なのではありません。会社や仕事内容、休日制度、教育体制、現場の雰囲気によって、働き方は大きく異なります。
新時代の建設現場とは?
現在の建設現場では、ドローン、3Dデータ、タブレット、ICT建機などが活用されています。
現実の風景とデジタルデータを組み合わせながら工事を進める様子は、ゲームやシミュレーションの世界に少し似ているかもしれません。
ドローンを飛ばして、空から現場を測る

「建設業でドローン?」と意外に感じる人もいるでしょう。
最近では、ドローンで現場を上空から撮影し、土地の形や広さ、高さなどを測る方法が使われています。
従来は、人が測量機器を持って現場を歩き、一か所ずつ測る作業が必要でした。ドローンを活用すれば、広い範囲の情報を短時間で集め、3Dデータとして確認できる場合があります。
また、斜面や高い場所などを空から確認できるため、人が危険な場所へ入る回数を減らすことにもつながります。
ドローンは、きれいな映像を撮影するためだけのものではありません。現在では、工事を安全かつ正確に進めるための大切な道具になっています。
国土交通省が進めるICT施工の取り組みでも、ドローンなどを使った3次元測量が紹介されています。
建物を建てる前に、3D空間で完成させる

建物や道路は、実際に工事を始める前に、パソコン上で立体的につくられることがあります。
CADというソフトで図面を描き、BIM・CIMと呼ばれる仕組みを使って、建物や道路、橋などを3D化します。
3Dモデルを使えば、完成後の姿をさまざまな角度から確認できます。
「柱と配管がぶつからないか」
「作業するためのスペースは確保できるか」
「どの順番で工事を進めれば安全か」
こうした問題を工事前に発見できれば、つくり直しや材料の無駄を減らすことができます。
国土交通省でも、調査・測量・設計・施工・維持管理などの情報をデジタル化して共有するBIM・CIMの活用を進めています。
パソコン、美術、デザイン、3DCGなどが好きな人も、自分の興味を建設業で生かせる可能性があります。
タブレット1台で図面や写真を共有

以前の建設現場では、大きな紙の図面や大量の書類を持ち歩くことが一般的でした。
現在では、タブレットやスマートフォンで図面を確認する現場も増えています。
最新版の図面をその場で確認したり、撮影した現場写真をすぐに関係者へ送ったり、工事の進み具合をアプリで管理したりすることが可能です。
確認のためだけに現場と事務所を何度も往復する必要が減れば、移動時間の短縮にもつながります。
また、同じ情報を複数の人が共有しやすくなるため、「古い図面を見て作業してしまった」「変更内容が伝わっていなかった」といったミスを防ぐ効果も期待できます。
重機もどんどんスマートになっている
ショベルカーやブルドーザーなどの建設機械も、どんどん進化しています。
最近では、3Dデータを使い、掘る深さや地面の高さを画面で確認しながら作業できる重機もあります。
そのため、機械が操作をアシストし、掘りすぎを防ぎながら正確に作業できるようになっています。
安全に操作するためには知識や練習が必要ですが、今は経験だけに頼らず、機械やデータを使いながら技術を身につける時代です。
将来には、離れた場所から重機を動かしたり、複数の機械をパソコンで管理したりする仕事も増えていくと考えられます。
これからの建設業では、体力だけでなく、機械を扱う力やデータを見る力、周りと協力する力も大切です。
実際に働く先輩が感じる、建設業の面白さ
建設業の魅力は、給与や資格だけではありません。
自分が関わったものが街に残ること、毎回違う場所で仕事ができること、仲間と協力して大きなものを完成させることにも、建設業ならではの面白さがあります。
完成した現場が街に残る
工事中には、予定通りに進まなかったり、天候に影響されたりすることもあります。
それでも、完成した道路や建物を見たときには、大きな達成感があります。
自分がつくった道路を家族や友達が通ったり、自分が関わった建物が何十年も地域で使われたりすることは、建設業ならではの喜びです。自分の仕事が誰かの生活につながっていると実感できることは、大きなやりがいになるでしょう。
例えば、株式会社嘉戸工務店では、マンションや大型倉庫、学校、競馬場などの施設づくりに関わっています。土工事やコンクリート打設、仮設工事、重機を使った土木工事など、建物の土台をつくるさまざまな仕事を経験できます。自分の技術が仕上がりに表れ、資格を取ることでできる仕事が増えていく点も魅力です。

毎回違う場所で働ける
建設業は、同じ場所で同じ作業だけを繰り返す仕事ではありません。
一つの工事が完成すれば、次の現場へ移ることがあります。現場が変われば、景色、地形、工事内容、一緒に働く人も変わります。
街の中心で道路を整備する日もあれば、自然に囲まれた場所で河川や斜面を整備することもあります。
新しい場所へ行くことが好きな人や、毎回違う課題に挑戦したい人にとって、現場が変わることは建設業の面白さの一つです。
道路工事や河川工事などを手がける株式会社村山組からも、地域を支えるさまざまな現場や、実践を通じて技術を身につける仕事について知ることができます。

一人ではできない仕事だから面白い
大きな建物や道路は、一人ではつくれません。
施工管理、重機オペレーター、電気工事、鉄筋工事、塗装、配管など、異なる技術を持った人たちが協力して、一つの工事を完成させます。
自分の担当部分が終われば、それを引き継いで次の人が作業します。一人ひとりが自分の役割を果たすことで、何もなかった場所に大きな建物や道路が完成します。
文化祭や部活動で、仲間と一つのものを完成させたときに達成感を覚えた人は、建設業のチームワークにも魅力を感じるかもしれません。
電気設備、空調・給排水、情報通信などを支える松田電気工業株式会社からも、周囲と助け合い、チームで工事を進める職場の雰囲気を知ることができます。

自分に合った建設会社を見つける4つのポイント
建設会社を選ぶときは、給与の金額だけで判断しないことが大切です。
「どのような仕事をするのか」「誰と働くのか」「どのように仕事を教えてもらえるのか」まで確認すると、入社後のミスマッチを減らせます。
① 入社後の教育内容を確認する
未経験から入社する場合は、教育制度を確認しましょう。
・新人研修はあるか
・安全教育はどのように行われるか
・最初は誰と一緒に仕事をするのか
・一人で仕事を任されるまでの期間
・困ったときに相談できる先輩がいるか
「先輩が丁寧に教えます」と書かれているだけでは、具体的な内容が分からない場合もあります。
会社説明会や職場見学では、「入社1年目の人は、最初にどのような仕事をしますか?」と質問してみるのがおすすめです。
② 休日と1日のスケジュールを見る
休日数だけでなく、普段の働き方も確認しましょう。
・年間休日は何日か
・週休2日制か、完全週休2日制か
・出勤時間と退勤時間
・月平均の残業時間
・休日出勤が発生することはあるか
・現場への直行直帰ができるか
・雨天時はどのような仕事をするか
「週休2日制」は、必ず毎週2日休めるという意味ではない場合があります。「完全週休2日制」との違いにも注意しましょう。
また、朝が早くても帰宅時間が早い会社や、現場によって出勤時間が変わる会社もあります。自分の生活に合う働き方かどうか、1日のスケジュールを見ながら考えることが大切です。
③ 資格取得支援を確認する
資格を取得すると、担当できる仕事が増えたり、給与や手当が上がったりする場合があります。次の内容を確認してみましょう。
・受験費用を会社が負担してくれるか
・講習費用や教材費の補助があるか
・資格取得後に手当が支給されるか
・勉強時間への配慮があるか
・先輩から試験対策を教えてもらえるか
「資格取得支援あり」と書かれていても、支援の範囲は会社によって異なります。
全額支給なのか、一部補助なのか、合格した場合のみ支給されるのかまで確認できると安心です。
④ 職場見学で実際の雰囲気を見る
求人票だけでは、職場の人間関係や現場の雰囲気までは分かりません。
応募前職場見学では、次のような部分を見てみましょう。
・若手社員が働いているか
・社員同士がどのような話し方をしているか
・道具や現場が整理整頓されているか
・ヘルメットや安全設備が正しく使用されているか
・高校生からの質問に丁寧に答えてくれるか
・実際に働く社員の表情はどうか
特に、安全対策と整理整頓は重要です。
安全について丁寧に説明してくれる会社や、見学者にも分かりやすく仕事内容を紹介してくれる会社は、新人教育にも力を入れている可能性があります。
カケハシplusでは、企業の仕事内容だけでなく、社員紹介や職場写真も掲載しています。働きたい地域から会社を探す場合は、次のページも参考にしてください。
まとめ|建設業は、未来の街と自分の技術をつくる仕事
建設業には、今も体力が必要な仕事や、天候によって予定が変わる仕事があります。
しかし、建設業がすべて「ブラック」というわけではありません。
2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、公共工事を中心に週休2日化や現場閉所の取り組みも進んでいます。
さらに、ドローンによる測量、BIM・CIMによる3Dモデル、タブレットでの情報共有、ICT建機など、新しい技術も広がっています。
建設業での活躍方法は一つではありません。
現場で建物をつくる人、重機を操作する人、パソコンで図面を描く人、土地や品質を測る人、工事全体をまとめる人など、それぞれの得意なことを生かせる仕事があります。
高校卒業後、未経験から入社しても、先輩と働きながら技術を学び、資格取得を目指すことができます。
自分がつくった道路や建物が地域の人に使われ、何十年も未来に残っていく。それは、建設業だからこそ味わえる大きな魅力です。
「ものづくりが好き」
「手に職をつけたい」
「機械や3D技術に興味がある」
「地域に残る仕事がしたい」
一つでも当てはまったら、建設業を将来の選択肢に加えてみませんか?
まずはカケハシplusの高校生向け企業情報一覧から、どのような仕事や会社があるのかをのぞいてみてください。
