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なぜ採用ミスマッチは起こるのか?原因と対策を徹底解説!

採用活動において、企業と求職者の間に「ミスマッチ」が生じることは決して珍しいことではありません。

せっかく時間とコストをかけて採用した人材が、すぐに退職してしまうと、企業にとって大きな損失になります。

人材不足が深刻化する現代において、採用ミスマッチは企業の成長を阻害する重大な課題のひとつです。

本記事では、採用ミスマッチの現状やリスク、主な原因を整理したうえで、企業が今すぐ取り組める具体的な対策をわかりやすくご紹介します。

特に人事・採用担当の方にとって、明日から実践できるヒントとなる内容をお届けします。 

目次

企業の6割が経験する採用のすれ違い

厚生労働省の調査によれば、新卒入社者の約3割が3年以内に退職しています。

また、中途採用者の離職率も高く、業種や職種を問わず、早期離職は企業にとって深刻な悩みです。

この背景には、業務内容・職場環境・社風などのギャップ、いわゆる「採用ミスマッチ」が大きく関係しているとされています。

ミイダス社の調査では、企業の6割以上が「採用ミスマッチを経験した」と回答しており、特に中小企業では人材の選択肢が限られることから、ミスマッチの影響を受けやすい傾向にあります。

採用ミスマッチが招く5つの深刻なリスク

採用・育成コストの損失

求人広告費、面接対応、入社後の研修や教育など、1人あたりにかかる採用コストは約50万~100万円以上とされています。

早期退職されると、これらの投資が無駄になるだけでなく、再採用にさらなるコストが発生します。

繰り返し採用を繰り返すことで、人事部門の負担も増え、長期的な経営課題にもつながります。

業務効率の低下と現場への負担増加

人員が突然欠けると、その分の業務を既存社員がカバーする必要があり、残業や過労の原因に。

結果として、他の社員のモチベーション低下やさらなる離職につながる可能性もあります。

特に少人数体制で回している現場では、1人の離職がチーム全体に大きな影響を与えます。

組織の生産性と成長スピードの低下

社員の入れ替わりが頻繁に起きると、ノウハウの蓄積やチームの一体感が得られず、プロジェクトの進行や業務品質にも悪影響を与えます。

育成した人材がすぐに辞めてしまうと、組織としての成長も停滞しやすくなります。

社内の信頼関係・雰囲気の悪化

新人がすぐ辞めてしまうと、「どうせまたすぐ辞めるだろう」といった空気が生まれ、社員間の信頼関係にも影響を及ぼします。

教育担当者の意欲を損ね、社内文化に悪循環が生じます。

また、長く勤めている社員の不満にもつながり、離職の連鎖を招くリスクも。

企業イメージ・採用ブランドの低下

SNSや口コミで「思っていた会社と違った」「環境が悪い」といった情報が拡散されると、求職者からの印象が悪くなり、優秀な人材が応募しづらくなります。

採用力の低下は、企業全体の競争力低下にも直結する問題です。


採用ミスマッチによって企業が抱えるリスクや課題は、決して軽視できるものではありません。

特に「離職者の穴を埋めるために新たに人を採用 → またミスマッチ → 再び離職」という悪循環に陥ると、企業全体の信頼性やブランド力まで損なわれるおそれがあります。

代表的なリスクには以下のようなものがあります:

■採用・育成にかかるコストが無駄になる
■現場の負担が増え、組織全体の生産性が低下する

このような損失は企業経営の健全性を揺るがす要因となり、早期に対策を講じる必要があります。

採用ミスマッチの根本要因を探る

ミスマッチは「選考ミス」だけでなく、以下のような複数の要因が絡み合って発生します。

求人情報と実態の乖離

企業がよかれと思って求人情報を魅力的に見せようとするあまり、実際の業務内容や職場の雰囲気との間にギャップが生まれてしまうことがあります。

仕事内容の詳細が曖昧だったり、都合の悪い情報を伏せていたりすると、入社後に「思っていたのと違った」と感じてしまい、早期離職の原因にもなります。

採用活動においては、応募者の期待と実態をなるべく近づけることが重要です。

【合わせて読みたい】
求職者にとって「分かりやすい」「信頼できる」と感じてもらえる求人情報とは?
求人票の見直しでミスマッチのリスクを軽減するポイントを紹介しています。
▶︎ 求人票の書き方ガイド|求職者に伝わる表現とNG例を徹底解説

選考プロセスの浅さと判断のばらつき

短時間の面接で性格や志向まで把握するのは困難です。

さらに面接官ごとの評価基準にバラつきがあると、判断が主観に左右され、適切なマッチングができません。

共通の評価指標がなければ、面接のたびに求職者への印象が大きく変わってしまいます。

企業文化との不一致

企業にはそれぞれの価値観や風土があります。

例えば、上司との距離が近い企業が合う人もいれば、上下関係を重視する職場を好む人もいます。

文化が合わないと、いずれストレスを感じて退職に至るケースが多くなります。

文化とのミスマッチは、能力ではカバーできない深刻な問題です。

応募者の情報収集不足

応募者が企業の実態や仕事内容を理解しないまま、「有名だから」「待遇が良さそうだから」といった理由で応募・入社してしまうケースも。

入社後にギャップを感じて早期離職に至ります。求職者側に対しても、企業が必要な情報をしっかり届ける工夫が必要です。

採用ミスマッチを防ぐ7つの具体策

仕事内容・環境の“リアル”を伝える

採用サイトで職場の1日を紹介する記事や動画、実際の現場社員の声をインタビューで掲載するなど、入社前に現場をイメージできるようにします。

インスタやYouTubeの活用も効果的です。

文字情報だけでなく、写真や動画での発信が理解を深めます。

アセスメントツールを導入する

性格診断や価値観マッチングを数値化できるツール(SPI、ミイダス、SHLなど)を導入し、求職者の特性と社風とのフィット感をチェックするのも有効です。

社内の優秀社員の傾向と照らし合わせて、採用基準に一貫性を持たせる工夫も重要です。

リファレンスチェックを活用する

BackCheckなどを利用し、前職での評価や職場での行動スタイルを第三者の視点から確認することで、採用判断の精度を高められます。

第三者の声を取り入れることで、ミスマッチのリスクを事前に減らすことができます。

BackCheck:採用候補者の経歴・職歴・素行などを第三者に確認するサービス

職場体験や職場見学を設ける

入社前に実際の職場を体験できる機会を設けることで、「思っていた仕事と違った」というギャップを減らし、ミスマッチの防止に大きく貢献します。

とくに高卒採用においては、職場見学の印象が志望度や定着率に直結するケースも多く、重要なポイントです。

1日職場体験、先輩社員との座談会、工場や事務所内の案内など、リアルな現場を体感してもらえる工夫が効果的です。

【合わせて読みたい】
職場見学の目的や事前準備、当日の工夫など、詳しく解説した記事はこちら。
▶︎ 高校生の職場見学を受け入れる企業が知っておきたい準備とポイント

面接官トレーニングを実施する

評価のバラつきを防ぐため、面接官には評価基準の統一とトレーニングが必要です。

ロールプレイング研修面接マニュアルの整備も取り入れましょう。

面接スキルを磨くことで、応募者の本音を引き出しやすくなります。

採用メッセージの統一化

部署や面接官によって伝える情報が異なると、応募者は混乱します。

人事部門が中心となって「伝えるべき情報」を明確化し、すべての関係者が共通認識を持つようにしましょう。

社内資料FAQなどを整備するのも有効です。

入社後のフォローアップ体制を構築する

オンボーディングプログラムや定期面談(1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月)によって、業務・人間関係の不安を早期に解消する仕組みが重要です。

OJT担当者との定期的な振り返りも効果的です。

新人が安心して働ける環境をつくることが、定着率の向上に直結します。

オンボーディングプログラム:新入社員が職場に早くなじみ、即戦力として活躍できるように支援する一連の受け入れ施策・教育プログラム


採用ミスマッチを完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、以下のような取り組みを行うことでリスクを大きく軽減することが可能です。

■採用ページやSNSで、職場のリアルな雰囲気を伝える
■1dayインターンや体験入社で、現場の空気感を事前に知ってもらう

たとえば「1dayインターン」は、応募者が実際に職場の雰囲気を感じられるため、入社後のギャップを大きく減らすことができます。また、面接官の評価基準を統一することで、選考の質を保つことも重要です。

ミスマッチゼロを目指して採用を未来へつなぐ

採用ミスマッチは、必ずしも避けられないものではありません。

多くの要因が企業側の情報提供や選考プロセスに起因している以上、仕組みや伝え方を見直すことで、改善の余地は十分にあります。

■「自社に合う人材とはどんな人か」を明確にする
■「その人に伝えるべき情報は何か」を整理する
■スキルだけでなく価値観や文化の一致を重視した採用へ移行する

採用は、企業の未来をつくる第一歩。だからこそ、丁寧で誠実な採用を意識していきましょう。

人材が定着し、成長していくことで、企業全体の競争力も高まっていきます。

「量」ではなく「質」を重視した採用戦略が、これからの人事には求められています。