
高校訪問とは|高卒採用における重要な第一歩
企業が高校を訪問する「高校訪問」は、高卒採用活動において欠かせないプロセスのひとつです。
高校生を新卒で採用するためには、単に求人票を提出するだけでは不十分。
学校との信頼関係を築き、先生方と直接コミュニケーションを取りながら、生徒に「ここで働きたい」と思ってもらえる企業像を伝えることが重要です。
高校訪問の目的
高校訪問には、主に以下の3つの目的があります。
学校との信頼関係を築く
最も重要なのが、進路指導の先生方との信頼関係の構築です。
高校生の就職先を決定するうえで、先生の意見や推薦は大きな影響を持っています。
そのため、企業側が丁寧に理念や事業内容、職場環境、教育体制などを説明し、安心感を与えることが求められます。
自社の認知度を高める
高校には毎年新しい生徒が入学します。
定期的に訪問を続けることで、学校や生徒の中での企業の認知度が向上し、将来的な応募や紹介の可能性が広がります。
生徒との接点をつくる
高校訪問は、職場見学や説明会への誘導にもつながる貴重な機会です。
企業を実際に「見て・知る」ことは、生徒にとって非常に重要な判断材料になります。
特に初めて就職活動を行う高校生にとって、職場の雰囲気や働く人の姿を知ることは安心材料となり、企業への関心を高めるきっかけになります。
訪問のタイミングと対象校の選定
訪問のピークは、求人票の解禁時期(例年6月頃)から、応募解禁(9月初旬)までの間です。
企業は自社の採用方針に基づいて、訪問先の高校を選び、アポイントを取って日程を調整します。
訪問対象となる高校は、「地元」「通勤可能エリア」「自社業種に関連する学科を持つ学校」などを基準に選定するのが一般的です。
高校訪問が今、注目されている理由
少子化の影響により、高卒人材の獲得競争は年々激しくなっています。
その一方で、高校生の就職活動は情報が限られており、「どんな会社か分からない」と不安を抱く生徒も少なくありません。
だからこそ、企業が自ら学校を訪れ、丁寧に情報を提供する姿勢が、安心感と信頼を生み、採用成功率を高めるカギとなるのです。
訪問準備|成功する高校訪問のためのステップ

高校訪問は、企業と学校の間に信頼関係を築くための重要な取り組みです。
その効果を最大限に引き出すには、事前の丁寧な準備が欠かせません。
以下のステップを参考に、訪問の質を高めましょう。
訪問先の高校を選定する
まずは、どの高校を訪問するかを明確にしましょう。選定時には以下のポイントを意識することが大切です。
■地域性:
企業の所在地や事業拠点からアクセスしやすい高校を優先することで、地元との結びつきを強められます。
地元採用への親和性が高まり、学校側の信頼も得やすくなります。
■学科の関連性:
自社の業種や職種にマッチした学科(例:工業系、商業系、情報系など)がある高校を選ぶことで、ミスマッチのない採用活動が可能になります。
■学校の特色:
教育方針や校風、地域での評判など、自社の理念や文化と相性の良い学校を選定することで、より良い関係が築きやすくなります。
アポイントを取る
訪問前には、進路指導の先生やキャリア担当の先生に連絡を取り、訪問の目的や希望日時を伝えましょう。
連絡手段は、電話・メールどちらでも構いませんが、学校の方針や先生の都合に配慮した方法を選ぶのが望ましいです。
また、初めての訪問であれば、自己紹介や企業概要を簡潔に伝えた上で、事前に送付できる資料があれば添付すると親切です。
プレゼン資料を準備する
訪問時には、学校や生徒に企業の魅力を伝えられる資料を用意しておきましょう。
以下の項目を盛り込むと効果的です。
■企業概要:
沿革、事業内容、ビジョン、地域との関わりなど
■働く環境:
社員の一日、福利厚生、教育・研修制度、キャリアパス
■採用情報:
募集職種、求める人物像、選考の流れ、職場見学の案内など
資料は視覚的に分かりやすく、手に取りやすいボリュームにまとめましょう。
訪問時の服装とマナー
高校訪問は、企業の第一印象を左右する場です。
以下の基本マナーを押さえておきましょう。
■服装:
清潔感のあるビジネスカジュアル(例:ジャケット着用、必要に応じてネクタイ)を基準とし、学校の雰囲気や文化に合わせて調整しましょう。
■持ち物:
名刺、資料一式、筆記用具、スケジュール帳などを忘れずに。
■言動:
丁寧なあいさつと話し方を心がけ、学校の規則や雰囲気を尊重する姿勢が大切です。
学校情報の事前リサーチ
訪問前に、対象校の基本情報を把握しておくことで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
■学校の沿革や特色:
学校の歴史や理念を調べることで、話題に一貫性を持たせられます。
■進路実績:
過去の就職実績や卒業生の傾向を確認し、相手のニーズに合った提案ができます。
■学校行事や取り組み:
文化祭、職業講話、インターン受け入れなどの行事に目を通し、関心を示すことで良い印象を与えられます。
ポイント|信頼と印象を築くために大切なこと

高校訪問を「行っただけ」で終わらせるのではなく、確かな成果へとつなげるには、訪問時の姿勢や伝え方に注意が必要です。
ここでは、学校側との信頼関係を築き、生徒に企業の魅力を伝えるために意識すべき5つのポイントを紹介します。
一方的な説明ではなく、対話を意識する
訪問では、企業の情報を伝えるだけでなく、先生方の声を丁寧に聞く姿勢が大切です。
特に進路指導の先生は、生徒一人ひとりの希望や性格を把握しており、企業とのマッチングを意識しています。
例:
「最近の生徒さんの就職志向には、どんな傾向がありますか?」
「御校の卒業生で弊社に在籍している方の様子など、何か気になる点はございますか?」
こうした質問を交えながら、双方向のやり取りを心がけましょう。
訪問のタイミングに配慮する
高校には「進路指導が集中する時期」があり、そのタイミングを避けて訪問する配慮が必要です。
例えば、求人票の受付開始(6月)、三者面談や進路面談の多い7〜8月は、先生方も多忙になります。
無理にスケジュールを押し込まず、余裕を持ったアポイントを心がけましょう。
継続的な関係づくりを意識する
「一度だけの訪問」では、なかなか企業の印象が定着しません。
年に1〜2回、定期的に訪問することで、学校との関係性が深まり、次年度以降の採用にもつながります。
また、卒業生が自社で活躍している場合は、その近況報告を行うことも信頼構築に効果的です。
先生にとって「卒業生の安心できる就職先」という印象は非常に大きな安心材料となります。
高校生にも分かりやすい言葉で説明する
企業側が使う業界用語や専門用語は、先生や生徒にはなじみがないことが多く、誤解や不安を招く恐れもあります。
できる限り、誰でも理解できる言葉で、自社の魅力や業務内容を伝える工夫が必要です。
例:
「NC旋盤のオペレーター」→「自動で金属を削って部品を作る機械を動かす仕事」
「福利厚生が充実」→「社員食堂があり、昼食代が安く済むようになっています」など
高校生の立場や視点に立って、言葉を選びましょう。
訪問後のフォローも忘れずに
訪問後の「ちょっとした一手間」が、印象を大きく左右します。
お礼のメールや、当日渡した資料のデータ送付など、簡単なフォローを行うことで、誠実な印象が残ります。
また、職場見学や会社説明会の案内を時期に合わせて送るなど、次のアクションへつなげることで、より効果的な採用活動につながります。
まとめ|高校訪問は採用成功のカギを握る第一歩

高校訪問は、高卒採用を目指す企業にとって、単なる営業活動ではなく「信頼構築と情報提供の場」です。
求人票を出すだけでは伝わらない、企業の姿勢や職場環境、育成方針などを直接伝えられる貴重な機会でもあります。
訪問を通じて、進路指導の先生との関係を築き、生徒への認知度を高め、さらには実際の接点をつくることで、採用の可能性を大きく広げることができます。
高校訪問を成功させるための3つのカギ
■丁寧な準備:
訪問先の選定から資料の作成、アポイントの取り方まで、事前の段取りが成果を左右します。
■誠実なコミュニケーション:
一方的に話すのではなく、学校側の考えや生徒の様子を丁寧に聞き、信頼を積み重ねることが大切です。
■継続的な関係づくり:
訪問後のフォローや定期的なコンタクトを通じて、長く続く信頼関係を築いていきましょう。
少子化により採用環境が厳しさを増す中、高校訪問は「人と人とのつながり」が問われる活動でもあります。
だからこそ、単なる採用手段としてではなく、企業としての誠意や将来への姿勢を伝える場として、積極的に活用していきましょう。