
「今アルバイトとして働いている職場で正社員として働けたらいいな・・・」
「そもそもアルバイトと正社員って何が違うの?」
このように、人生を大きく左右する選択を迫られている高校生の皆さんは、様々な疑問や不安を抱えていることでしょう。
この記事では、アルバイトと正社員の基本的な違いから、バイト先で正社員登用は可能なのか、それぞれの働き方にはどんなメリットとデメリットがあるのかなど、わかりやすく解説します。
アルバイトと正社員の基本的な違い

まず初めにアルバイトと正社員の基本的な違いについて解説します。
高校卒業後の進路を考える際、アルバイトと正社員という働き方の違いを理解していなければなりません。
基本的な違いを雇用形態・給与体系・接遇面から詳しく解説していきます。
雇用形態の違い
アルバイトの場合、雇用期間は3か月や6か月など短い期間で契約を行い、週20時間から30時間程度の短時間労働が一般的です。
一方、正社員の場合は基本的に契約期間の定めがなく、週40時間前後のフルタイム勤務が一般的です。
また、アルバイトの場合は基本的に部署異動や転勤は発生しませんが、正社員の場合、会社の判断により部署異動や転勤が発生する可能性があります。
給与体系の違い
アルバイトの場合、時給制が基本で、勤続年数によって時給が上がることはあるものの、その上昇幅は一般的に小さく、賞与や退職金は基本的に支給されません。
一方、正社員の場合は月給制が一般的で、基本給に加えて残業代も支給されます。
また、多くの企業では定期的な昇給制度があり、年に1〜2回のボーナス(賞与)が支給されるのが標準的です。
年収面では大きな差があります。
アルバイトの場合、時給1,000円で週25時間、年間50週働いたとして年収約125万円程度となります。
これに対し、高卒の正社員初任給は厚生労働省の2023年統計によると月額約18万円(年収約216万円)となっており、さらに賞与を含めるとその差はより大きくなります。(参照:厚生労働省)

接遇面の違い
正社員の場合、健康保険料や厚生年金保険などを会社が給与から天引きする形で手続きを行いますが、アルバイトは一定の労働時間に満たない場合、社会保険の加入対象外となり、国民健康保険や国民年金に自分で加入・納付する必要があります。
また、教育研修制度については、正社員は体系的なキャリア育成プログラムに参加できる一方、アルバイトは業務に必要な最低限の研修のみ対象となることが一般的です。
さらに、住宅手当や家族手当、社員割引などの福利厚生制度も、正社員には適用されるものの、アルバイトには制限付きまたは対象外となるケースが多くあります。
アルバイトから正社員を目指せる?

学生時にアルバイトとして雇用されていた企業でそのまま正社員を目指すことは、十分に可能です。
企業によっては、優秀なアルバイトを正社員として採用する制度を設けているので、調べてみると良いでしょう。
人間関係が構築されている
実績が評価されやすい
すでにアルバイトとして働いているため、そのまま正社員として雇用された場合でも、すでに周りの人間関係が構築されていたり業務内容等が理解できているため、即戦力として評価されやすくなります。
また、正社員として採用される前に書類選考や面接を行う必要がある場合でも、面接や履歴書に書かれていることだけではなく、実際の仕事ぶりで評価してもらえます。
アルバイトのメリットとデメリット

高校卒業後の選択肢としてアルバイトを検討する際に知っておきたいメリットとデメリットを詳しく解説していきます。
アルバイトのメリット
自分の都合に合わせてシフト調整をしやすく、複数の仕事を掛け持ちして収入を増やすことができたり、様々な経験を積むことができます。
また、未経験でも始められる職種が多く、業界や職種を短期間だけ経験してみるという方法も取ることができます。
アルバイトのデメリット
アルバイトは時給制のため月収が勤務日数や時間によって変動しやすく、さらにボーナスや退職金制度も一般的にありません。
そのため、病気やケガで働けなくなった場合、収入が途絶え、生活が経済的に困難になるリスクがあります。
また、長期間アルバイトのみで正社員としての就業経験がない場合、将来の就職活動において、職務経験や業務遂行能力の面で評価が低くなる可能性があります。
特に年齢が上がるにつれ、「なぜ正社員として働いていなかったのか」という質問を受けることも少なくありません。
正社員のメリットとデメリット

高校卒業後の進路として正社員を検討する際に、把握しておきたいメリットとデメリットを詳しく解説していきます。
正社員のメリット
正社員の場合、給与は月給制で一定の収入が見込め、社会保障も充実しています。
そのため、病気やケガで働けなくなった場合でも、雇用保険の傷病手当により、就業できない期間の収入の約3分の2程度が補償されます。
また、万が一失業をした場合でも失業給付により一定期間、再就職までの手当が支給されます。
正社員のデメリット
正社員はアルバイトと違い、長期間の労働に加え残業や休日出勤が発生するリスクがあり、仕事中心の生活によって私生活の両立が難しくなってしまう場合もあります。
また、職場環境によって、有給休暇がとりにくい、ノルマや成果へのプレッシャーが重くのしかかるなど、精神的な負担が発生する場合もあります。
自身にあった働き方を見つけよう

正社員とアルバイトのメリットとデメリットを踏まえて、自分自身に合った働き方を選択するにはどうすれば良いでしょうか?
以下の3つのポイントから、自分自身に合った働き方を見つけてみましょう。
キャリア形成から考える
目指したい業界や企業から考える
経済的な面から考える
家族と離れて一人暮らしを考えている人や、安定した収入が必要とされている人は、安定した収入が見込まれる正社員が向いています。
一方、当面は実家暮らしで生活費の心配がない人や、将来の夢に向けて学業と両立しながら収入を得たい人には、自分の都合でシフト調整がしやすいアルバイトが向いているでしょう。
しかし、社会的には長期間アルバイトのみの経歴よりも、正社員としての職歴が評価される傾向があるため、20代後半から30代にかけては正社員への移行も視野に入れることをお勧めします。
キャリア形成から考える
特定の業界や職種で、キャリアやスキルを身に付けたいと考えている人や、将来的に独立や起業を考えている人は、キャリアアップ制度が導入されていることが多い正社員が向いています。
一方、自分の特性や好きな仕事が見つからないがとにかく稼ぎたい人は、複数の仕事を掛け持ちして収入を得られ、様々な経験を積むことができるアルバイトが向いています。
なお、近年では正社員でも複数の仕事ができる「副業」を認めている会社が増えているため、正社員で安定した収入とキャリアを確保しながら、副業で新たなスキルを磨くことも可能です。
目指したい業界や企業から考える
目指したい業界や企業がある人は、その業界や企業が求めている人材像や採用条件を調べてみましょう。
例えば、専門的な知識や資格が必要とされる業界や企業の場合、専門学校などに通いながらアルバイトで生活費を得るという方法もあります。
また、人材育成に積極的な企業では、正社員向けに資格取得支援制度や学費補助制度を設けていることもあります。
自分の将来の目標と現在の状況や、目指したい業界・企業を十分に調べた上で、アルバイトもしくは正社員かを判断してみましょう。
高卒就職を成功させるためのステップ

高校卒業後に就職を考えている皆さんが、スムーズな就職活動を行うための手順を紹介します。
以下のポイントを押さえて、高卒就職を成功させましょう。
早めの準備と情報収集
応募企業の選定と書類の作成
面接対策を行う
企業見学や職場体験に参加する
自己分析を行う
自分自身を理解することで、適した就職先を見つけることができたり、目指すべき職種が見えてくることがあります。
まずは、何を大切にして働きたいのか(やりがい・高収入・自己成長など)をまとめて、企業を選択する際に重要視したいポイントを考えます。
つぎに、学校での成績や部活動の経験やアルバイトの経験などから、自分自身の得意なこと・不得意なことを整理し、自分自身に適切な職種を考えてみましょう。
厚生労働省が無料で適性検査ができるツールを公開していますので、そちらを活用して自己分析を行う方法もあります。
早めの準備と情報収集
高卒採用は大学生の就職活動よりも早いスケジュールで進みます。
高校2年生から実施される進路希望調査で、自分自身の希望を明確に先生に伝えることで、適切なサポートを受けられるようにしましょう。
また、学校内に進路指導室があったらそちらを利用して、先輩方がどういった企業に就職して、どのように就活を行なったのかなど、情報を収集します。
そのほか、ハローワークやインターネットでも高卒採用の情報が手に入りますので、様々なルートで情報を集めてみてください。
応募企業の選定と書類の作成
毎年6月ごろになると、ハローワークに求人票が提出されますので、学校の進路指導の先生もしくはハローワークへ自ら出向いて、様々な企業の求人票をチェックしてみましょう。
求人票には仕事内容だけではなく、勤務条件や給与体系、福利厚生などが記載されていますので、自己分析の際に明確にした「自分が企業選びで重視したいポイント」と照らし合わせながら、応募企業の選定を行います。
応募企業が決まったら、企業が提出を求めている書類の作成を行いましょう。
多くの高卒採用では手書きの履歴書が求められますが、誤字脱字に注意して丁寧で読みやすい文字で書くことを心がけましょう。
下書きを作ってから清書するのも良い方法です。
志望動機は採用担当者が特に注目する部分ですので、その企業の何に魅力を感じたのか?入社後にどのように貢献したいのか?将来どんなキャリアを築きたいのか?など、具体的で前向きな内容を記載しましょう。
面接対策を行う
先生やご家族、友人に協力をしてもらい、実際の面接を想定した模擬面接を繰り返し行うようにしましょう。
練習の際は、「志望動機」「自己PR」「学生の時に力を入れたこと」「入社後の目標」などの定番質問はもちろん、「あなたの短所は何ですか」「なぜ当社を選んだのですか」といった、掘り下げた質問にも答えられるように準備をしておきましょう。
同時に、第一印象を左右する要素として、挨拶や正しい言葉遣い、面接に向かう姿勢や清潔感のある服装など、社会人としての基本的なビジネスマナーも、意識的に身につけることが大切です。
企業見学や職場体験に参加する
志望する企業や、興味のある企業で企業見学や職場体験が実施されていれば、積極的に参加します。
実際の職場を見ることで、よりリアルなイメージを持つことができるだけではなく、企業の採用担当者に自身をアピールすることもできます。
また、学校のOBやOGがいる職場であれば、実際に働いて感じたことなどを聞いてみると、学校では得られない情報を得られるため、入社してから「こんな職場だと思わなかった」などミスマッチを防ぐことにも繋がります。
まとめ

今回は、アルバイトと正社員の基本的な違いと働き方の違いを解説しました。
アルバイトと正社員は、単に雇用条件の違いだけではなく、キャリア形成の可能性や将来の安定性にまで及びます。
安定した収入やキャリアアップを目指したいと考えている人は正社員がおすすめです。
一方、たくさんの業界を経験してみたい人や、柔軟な働き方を希望している人はまず、アルバイトから始めてみることも一つの選択肢でしょう。
ただし、アルバイトを選ぶ場合は20代後半以降も長くアルバイトのみの経験が続くと、将来正社員を目指す際に採用面で不利になる可能性があります。
近年は「副業OK」の企業も増えていますので、正社員として安定した収入を確保しながら、副業で別の経験を積むという選択肢も視野に入れてみると良いでしょう。
高校卒業後の就職を成功させるためには、計画的な準備が不可欠です。
今回紹介した「高卒就職を成功させるためのステップ」を着実に進めることで、自分に合った職場で充実したキャリアをスタートさせることができるでしょう。
皆さんの選択が実り多いものとなることを願っています。