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高卒と大卒の生涯年収は、平均では差があります。ただし、その差がそのままあなたの将来の収入になるわけではありません。
「とりあえず入れる大学に進めば、高卒で就職するより収入が増える?」と迷ったら、大学全体の平均に加えて、志望する学部の学費と就職実績、今応募できる会社を並べてみましょう。
この記事は、進学と就職で迷っている高校生に向けた比較ガイドです。どちらが上かを決めるためではなく、自分が選べる進路を具体的にするために数字を使います。
資料確認:2026年10月21日。生涯賃金は2024年の賃金データ、私立大学の納付金は2025年度入学者の調査を使用しています。
高卒と大卒の生涯年収はどれくらい違う?
比較の基準として、労働政策研究・研修機構(JILPT)の「ユースフル労働統計2025」に掲載された生涯賃金を見てみましょう。
| 区分 | 高卒 | 大卒 |
|---|---|---|
| 男性 | 2億1,560万円 | 2億6,280万円 |
| 女性 | 1億5,790万円 | 2億990万円 |
差は男性で4,720万円、女性で5,200万円です。退職金は含まず、税金などを引いた手取り額でもありません。転職は想定されていますが、途中で仕事から離れる期間はないという条件です。
出典:JILPT「ユースフル労働統計2025」第21章・図21-1(PDF、310ページ)。各年齢の賃金を積み上げた推計であり、今の高校生が一生に得る額を予測・保証したものではありません。
「大卒なら必ずこの金額」ではない
この表は、働く人の集団を学歴別に比較した数字です。同じ人が大学へ進んだ場合と、高卒で就職した場合を実験して比べたものではありません。差のすべてを「大学に行った効果」と考えないようにしましょう。
性別の欄も、個人の能力や収入の上限を示すものではありません。自分の進路では、希望する職種、働き方、会社で身につけられることを具体的に確かめるのが出発点です。
入学しやすい大学でも、大卒平均と同じくらい稼げる?
この統計だけでは分かりません。引用した公的推計には、大学の入学難易度別の区分がありません。「難関ではない大学を出た人の生涯年収は〇円」と、この表から言い切ることはできません。
また、小さな会社で働く大卒者の数字を、そのまま「入学しやすい大学の卒業者」の数字として使うのも不適切です。大学の難易度と、勤め先の企業規模は別の情報だからです。
確認したいのは「自分が学びたい内容があるか」「卒業生はどんな職種で働いているか」「卒業までの費用はいくらか」です。入学できるかと、入学後に何を学び、どう仕事につなげるかを分けて考えます。
学費は「初年度の金額×4」で計算しない
文部科学省の2025年度調査では、私立大学の初年度の授業料・入学料・施設設備費の合計平均は、文科系学部で121万2,235円、理科系学部で160万2,053円です。
これは私立大学の昼間部について、入学定員で重みづけした平均です。大学全体に共通する料金でも、卒業までの総額でもありません。実験実習料などの費用や生活費は、この3費目の合計とは分けて確認します。
出典:文部科学省「令和7年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等」(PDF、資料1)。
初年度には入学料が含まれ、学年によって必要な費用も異なります。志望大学の募集要項や学費一覧で、1年次から卒業年次までの金額を足しましょう。国公立大学を考えている場合も、その大学の最新の案内を確認します。

| 費用の項目 | 自分の条件で確認すること |
|---|---|
| 大学に払うお金 | 入学料、各年の授業料、施設設備費、実習費など。 |
| 通学・住まい | 自宅からの交通費、下宿する場合の家賃・引っ越し費用など。 |
| 生活・学習 | 食費、教材、パソコンなど。就職した場合にも必要な費用と、進学によって増える分を分ける。 |
| 利用できる支援 | 給付奨学金、授業料等の減免、大学独自の支援。対象条件・申込期限・支給時期も確認する。 |
奨学金は「もらう」と「借りる」を分ける
JASSOには原則返還不要の給付奨学金と、卒業後に返還する貸与奨学金があります。利用できる制度や金額は条件によって違うため、学校の担当の先生や進学先に相談しましょう。
貸与奨学金で払う学費を費用に入れたうえで、借りた元本をもう一度費用に足すと二重計算になります。一方、卒業後に毎月返還できるかは別に確認が必要です。利息や保証料などがある場合は、その負担も整理します。
出典:JASSO「2027年度進学予定者向け 給付・貸与奨学金早わかりガイド」(PDF)、給付奨学金の案内。
高卒の「4年早く働く分」を二重に加えない
冒頭の生涯賃金は、それぞれ学校を卒業した直後から働く条件です。高卒で大学卒より早く働く期間も、すでに高卒の数字に含まれています。表の金額に、さらに4年分の給与を足して比較しないようにしましょう。
ただし、家計にとって「いつ収入が入り、いつ費用を払うか」は大切です。生涯の合計額だけでなく、卒業後4年間の生活がどう変わるかも家族と話してみてください。
大学の就職実績と、高卒の求人をどう比べる?
「大学卒」と「高卒」という大きな区分を、自分の候補に置き換えます。まず志望大学・学部を一つ、気になる仕事や会社を一つ選ぶと比較しやすくなります。
| 進路 | 見る資料・質問すること |
|---|---|
| 大学へ進学 | 志望学部の授業内容、資格取得の条件、卒業生の職種・就職先。実績の対象年度や人数も確かめる。 |
| 高卒で就職 | 学校の求人票にある仕事内容、給与の内訳、休日、勤務地、研修、資格取得支援。今の卒業年度で応募できるかを先生に確認する。 |
| どちらにも共通 | 希望する仕事に必要な学歴・資格は何か。自分はどんな作業や学びを続けたいか。 |
「就職率が高い」だけで判断しない
就職実績を見るときは、何人のうち何人なのかを確認しましょう。「就職希望者」を分母にした割合と、「卒業者全員」を分母にした割合は同じではありません。正規雇用かどうか、希望する職種への就職人数が分かるかも確認すると、進路の具体像が見えてきます。
有名企業の名前が並んでいても、掲載された人が卒業生全体のどれくらいかは別の話です。就職先一覧だけから、卒業後の平均年収を推測するのは避けましょう。
会社紹介は企業研究に、応募条件は求人票で
カケハシプラスの企業検索では、地域の会社や仕事内容を調べられます。気になる会社の名前と「知りたいこと」をメモして、先生に見せてみましょう。
掲載されていることだけで、現在の募集や自分の卒業年度の採用枠があるとは判断できません。最新の募集状況・勤務条件は学校を通して確認してください。調べる順番は高卒の求人・就職先の探し方ガイドでも紹介しています。
今日できること:先生に持っていく比較メモ
進路を今日決める必要はありません。次の空欄を一つ埋めるところから始めましょう。
- 興味がある仕事、または学びたいこと:____
- 気になる大学・学部と、卒業までの費用:____
- 気になる会社と、仕事内容・研修で知りたいこと:____
- 家族と相談したい費用、先生に確認したいこと:____
「進学と就職で迷っています。〇〇を学べる大学の費用と就職実績を調べたいです。高卒で〇〇の仕事に就く選択肢も含めて、どんな資料を見ればよいか教えてもらえますか?」
これは相談の言い方の例です。学びたいことがまだ分からないなら、「何を比べればいいか迷っている」と伝えても大丈夫です。
高卒・大卒の生涯年収でよくある質問
大卒なら、高卒より必ず稼げますか?
必ずとはいえません。集団の平均と個人の将来は別です。志望学部で学べること、就職先の仕事や条件、費用を具体的に比較しましょう。
入学しやすい大学なら、進学しない方が得ですか?
入学難易度だけでは判断できません。この記事の生涯賃金には難易度別の区分がありません。希望する仕事に必要な学びや資格が得られるか、費用をどう準備できるかを確認してください。
年収差から学費を引けば、進路を決められますか?
参考にはなりますが、それだけでは決められません。平均の差はあなた自身の収入差ではなく、働き続け方も変わりえます。費用を払う時期、返還負担、仕事内容への納得も一緒に考えましょう。
地域の会社でどんな仕事ができるかを調べ、進学先で学べることと並べてみてください。
地域の企業・仕事内容を探す →比較メモと相談例は編集部による提案です。イラストは説明用に生成したもので、実在する大学・企業の施設や就職実績を示すものではありません。