高校生の採用は、本人の意思だけでなく、保護者の安心も大きく関わります。
社会に出る一歩目だからこそ、「安全に働けるか」「条件は守られるか」「続けられるか」が気になるのは自然なことです。
この不安が残ったままだと、応募が増えない/内定辞退が出る/入社後のギャップが大きくなる…と企業側にも影響します。
この記事では、親が抱えやすい不安と、企業が今日からできる対策を、現場で使える形でまとめます。
親の不安が出るのは当たり前。高校生就活の「前提」を企業が理解する

高校生の就活は、大学生の就活に比べて「初めての社会」「情報が少ない」「判断が早い」と感じられやすい場面があります。
その結果、保護者は“心配モード”になりやすいです。
実際、進路について親子で話す家庭は多く、保護者が進路選択に関わるのは自然な流れです。
だから企業側は、本人向けの魅力発信だけでなく、保護者が安心できる材料も用意できると強いです。
保護者の不安が強いとき、企業側でよく起きることは次の通りです。
- 応募が増えにくい(最後の一歩で止まる)
- 内定は出たのに辞退が出る(家庭で不安が勝つ)
- 入社後に「思ってたのと違う」で早期離職につながる
ポイントは、親の不安を「面倒」ではなく、採用と定着の入口として捉えることです。
親はどんな不安を抱える?よくある“3つの心配”

不安はたくさんあるようで、よく見ると大きく3つにまとまります。
① 安全面:ケガ、危ない作業、夜遅くまでの勤務
保護者がまず気にするのは「安全」です。
特に18歳未満には、深夜業(夜22時〜朝5時)の原則禁止など、年少者の保護ルールがあります。
「法律的にも守るべき線引きがある」ことを、企業がきちんと言葉にできるだけで安心につながります。
② 条件面:求人票どおり?残業や休みはどうなる?
次に多いのが「条件が守られるか」。
ここは“良い言葉”より“目安の数字”が効きます。たとえば「残業は月何時間くらい?」「繁忙期は?」「休みの取り方は?」などです。
③ 育成・人の面:ちゃんと教えてもらえる?相談できる?
高校生は社会経験が少ないぶん、「分からない」「聞けない」でつまずきやすいです。
保護者は仕事内容そのものよりも、「誰が教えるのか」「困った時にどこへ相談できるか」「怒鳴る文化がないか」を気にします。
不安は“先回りの見える化”で減らせる:具体的な解決方法

保護者の不安の多くは、情報が少ないことで“悪い想像”がふくらむのが原因です。
対策は、特別な制度を作るより 先回りして見せる ことです。
① 安全面の不安を減らす“説明のコツ”
安全は「ゼロにします」より、「こう管理します」が信頼されます。
- 最初の1〜2週間は“補助だけ”など、作業範囲を段階で決める
- 危険工程は先輩が担当し、本人は見学→補助→実施の順にする
- 保護具(手袋・メガネ等)は「なぜ必要か」まで説明する
- ヒヤリとした事例を共有して、同じことを起こさない文化を作る
そして重要なのが、入社時の安全衛生教育です。雇い入れ時などに安全・衛生の教育を行う必要があることが公的に整理されています。
「入社初日に何を教えるか」が決まっている会社ほど、保護者に安心されます。
② 条件面の不安を減らす“数字の出し方”
条件は、曖昧だと不安が増えます。おすすめは“目安”の提示です。

繁忙期:いつ/どのくらい増えるか
残業:平常月の目安(例:月0〜10時間、など幅でもOK)
休日:固定休かシフトか、有給の取りやすさ(ルール)
手当:通勤、住宅、資格、交替など「ある・ない」を明確に
ここでのコツは、良い面だけを言わないこと。
大変な時期があるなら「その分、こう支える(人員調整・休み方・手当)」までセットで伝えると信頼が上がります。
③ 育成・人の不安を減らす“相談ルート設計”
高校生がつまずくのは、能力不足より「相談できない」ことが多いです。
だから、入社前から“相談の道”を用意して伝えます。
- 仕事の手順:教育担当へ
- 人間関係や不安:メンター(年の近い先輩)へ
- 体調や生活:人事(または総務)へ
「困ったらここへ」の案内があるだけで、保護者の安心は大きく変わります。
不安別:企業が見せるべき答え
| 親の不安 | 企業が見える化する内容 | 伝える一言例 |
|---|---|---|
| 安全が心配 | 危険作業の線引き/保護具/教育の流れ | 「危ない作業は段階を踏み、必ず先輩が付きます」 |
| 条件が心配 | 残業・休日の目安/繁忙期/手当 | 「忙しい時期も含めて、先に目安を共有します」 |
| 教育・人が心配 | 研修/相談先/独り立ちの目安 | 「困ったら相談できる人を最初に決めています」 |
保護者に安心してもらうために、企業側がやるといいこと

ここからは、仕組みとして“安心される会社”を作るための話です。ポイントは3つあります。
1) 説明がブレない「1枚シート」を用意する
口だけの説明は、人によって伝わり方が変わります。
さらに、高卒求人のルールとして、企業側が直接家庭訪問して生徒・保護者へ働きかけることは禁止とされているため、学校経由でも伝わる資料が強いです。
1枚に入れると強い項目(おすすめ)
- 仕事内容(1日の流れが分かると安心)
- 残業・休日の目安(繁忙期も含む)
- 研修の流れ(1か月目〜3か月目)
- 相談先(誰に言えばいいか)
- 安全の線引き(最初にやらせないこと)
2) “見学”を採用活動の中心にする
保護者の不安は、文章より「現場のリアル」で減ります。
見学では、良いところだけではなく、大変なところも短く触れるのが信頼につながります。
見学時にやると良いこと
- 休憩スペースや更衣室など“生活面”も見せる
- 教える人(先輩)を紹介する
- 「最初の1週間はこれをやります」と具体的に言う
3) 入社後90日だけ“フォロー設計”を濃くする
最初の3か月で「続けられる」が決まります。ここに投資できる会社は、結果的に採用も強くなります。
- 週1回、5〜10分の短い面談(困りごとの早期発見)
- 「できたこと」を言葉にして返す(自信が続く)
- 合わない兆しがあれば、配置・教え方を微調整する
今日からできる「保護者に安心される会社づくり」 3ステップ

大きな改革は不要です。順番を決めて小さく始めるのが一番続きます。
ここまで整えば、保護者も安心して任せやすい会社になります。
- 安全:最初にやらせない作業、教育の流れ
- 条件:残業・休日・繁忙期の目安
- 育成:研修の流れ、相談先
現場の担当者が変わっても同じ安心が伝わるようにします。
- 「大丈夫です」→「こういう仕組みで守ります」
- 「教えます」→「最初はこの順番で教えます」
- 「残業あります」→「平常月は月◯時間が目安です」
- 相談ルートを再案内(言いづらさを減らす)
- 短い面談を固定化(5〜10分でOK)
- 小さな成功体験を積ませる(できたことを言葉にする)
まとめ:親の不安を減らすことは、採用と定着の近道

保護者の不安は、子どもを守りたい気持ちから生まれます。
そしてその不安は、「安全」「条件」「育成」の3点を“先回りして見える化”するだけでも大きく減らせます。
- 安全:線引きと教育を言葉にする(雇い入れ時の安全衛生教育も重要)
- 条件:数字の目安を出して、繁忙期も含めて伝える
- 育成:相談ルートとフォロー設計を見せる
- ルール上、家庭へ直接働きかけられない領域があるからこそ、学校経由でも伝わる資料が効く
「高校生を採る」ではなく、「社会人の最初の一歩を一緒につくる」。
この姿勢が伝わる企業ほど、本人にも、学校にも、保護者にも選ばれやすくなります。