アルバイトとは違う「就活」が始まると、まずぶつかるのが「自己PRを書いてください」「自己PRを話してください」という壁ですよね。
「そもそも自己PRって何?」「部活と勉強しかしてないのに、アピールできることなんてある?」と不安になる人も多いはず。
でも実は、高校生活の中でやってきたことをちゃんと整理すれば、誰でも“その人らしい”自己PRは作れます。
この記事では、高校生の就職活動で使える自己PRの基本から、書き方のコツ・例文まで、ていねいに解説していきます。
自己PRってなに?高校生にもわかる基本

まずは、「自己PRってそもそも何?」というところから整理しておきましょう。
自己PRは「自分の強みのプレゼン」
自己PRをひと言でいうと、
「自分の良さ(強み)を、学校や企業にわかりやすく伝えるための文章・話し方」
のことです。履歴書・エントリーシートに書いたり、面接で口頭で話したりします。
高校生の場合、自己PRを使う場面はこんなイメージです。
- 就職活動の履歴書・面接
- 専門学校・短大・大学などの推薦入試・総合型選抜
- インターンシップや会社見学のエントリー など
どの場合でも共通しているのは、
■ 自分の強み(長所・得意なこと)
■ その強みが、相手の学校・会社でどう役立つか
をセットで伝える、という点です。
自己紹介・志望動機とのちがい
自己PRとよく似た言葉に「自己紹介」「志望動機」があります。違いを簡単に整理しておきましょう。
- 自己紹介
- 自分の基本情報や、どんな人かをざっくり伝えるもの
- 例:名前、学校名、部活、趣味…など
- 志望動機
- 「なぜこの会社(学校)を選んだのか」を説明するもの
- 例:その会社を知ったきっかけ、興味を持った理由 など
- 自己PR
- 「自分のどんな強みが、その会社(学校)で役に立つか」をアピールするもの
- 例:コツコツ続ける力・コミュニケーション力・チャレンジ精神 など
ざっくり言うと、
自己紹介=「自分ってこういう人です」
志望動機=「ここを選んだ理由です」
自己PR=「自分を採ると、こんな良いことがあります」
という役割の違いがあります。
高校生の就活で、なぜ自己PRが大事なの?
社会人の就活と違って、高校生はまだ仕事の経験がありません。
そのため、企業は次のようなポイントを自己PRからチェックしています。
- どんな性格・価値観の人か(まじめさ・協調性・元気さ など)
- 入社してから「伸びそう」「成長しそう」か
- 約束やルールを守れそうか
- 高校生活の中で、どんなことを頑張ってきたか
つまり高校生の就職では、
だからこそ、テストの点だけでは伝わらないあなたの良さを、自己PRでしっかり言葉にしておくことが大切になります。
自己PRをぐっと良くする3つのコツ

自己PRは「なんとなく良さそうなことを書く」ではなく、伝える順番と中身を意識するとグッと読みやすくなります。
一文目で「私は〇〇な人です」と言い切る
読み手を迷わせないために、最初の一文で強みを宣言します。
- 例:「私の強みは、最後まで投げ出さずにやりきる粘り強さです。」
- 例:「私の強みは、相手の立場で考えて動けるところです。」
ポイントは、
■ ダラダラ説明する前に 一言で言い切る
■ 「たぶん」「けっこう」などのあいまいな言葉は入れない
この一文があるだけで、「今日はその話をしてくれるんだな」と伝わりやすくなります。
強みは“1つ”にしぼって深く伝える
強みを「あれもこれも」と盛りすぎると、結局どれが伝えたいポイントなのかぼやけてしまいます。
「私の強みは〇〇です。」
「その強みが表れたのは、△△のときの経験です。」
のように、強み1つ+それを示すエピソード1つにしぼると、
自己PRに一本筋が通り、読み手の印象にも残りやすくなります。
「数字」と「相手目線」を少しだけ足す
同じ内容でも、数字と相手目線を入れるだけで説得力が変わります。
数字を入れる例
「毎日頑張りました」
→ 「毎日30分、1年間欠かさず自主練習を続けました」
相手目線を入れる例
「よく人に相談されます」
→ 「クラスメイトからは『話を聞いてくれて助かる』と言われることが多いです」
こんなふうに、数字や周りの人の声を入れると、一気に説得力が高まり、
「中身+見やすさ」両方の評価アップにつながります。
自己PRの書き方ステップガイド

「どう書き始めればいいか分からない…」という人向けに、
“順番どおりやれば1本できあがる”書き方ステップをまとめます。
STEP1 まずは「材料集め」からはじめる
いきなり文章を書かずに、メモ書きからスタートするとラクです。
ノートやスマホに、思いつくことをどんどん書き出してみてください。
- 頑張ったこと(部活・委員会・行事・アルバイト・ボランティア など)
- しんどかったけど、乗り越えた経験
- 人からよく言われる性格・特徴
- 自分で「これはちょっと誇れるかも」と思うこと
書き出したメモの中から、
- 「一番時間をかけて頑張ったこと」
- 「自分らしさが出ていること」
を 1つ選ぶ のがポイントです。
STEP2 その経験から「強み」を一言で決める
選んだエピソードを見ながら、
「この経験から分かる、自分の良さは何だろう?」
と考えてみます。
たとえば……
- 部活を3年間続けた
→「継続力」「粘り強さ」 - クラスで話し合いの場をまとめた
→「調整役になれる」「周りを見て動ける」 - アルバイトで接客を工夫した
→「人の立場に立って考えられる」「気配りができる」
このように、
- 経験 ▶ 強み(ラベルを貼る)
というイメージで、「私は○○な人です」を一言にします。
STEP3 テンプレートに当てはめて文章にする
ここから、実際の文章にしていきます。
おすすめは、型にあてはめる書き方です。
▼基本の型(この順番で書く)
- 結論(強み)
- 具体的なエピソード
- 学び・成長
- 仕事での活かし方
文章にすると、次のようなテンプレになります。
自己PRテンプレ
① 私の強みは、___________です。
② この強みが表れているのは、___________の経験です。
③ 私は(いつ・どこで)___________________に取り組みました。
その中で、___________________という工夫をしました。
その結果、___________________という結果につながりました。
④ この経験から、___________________の大切さを学びました。
御社では、___________________の場面で、この強みを活かしたいと考えています。
このテンプレの「___」に、STEP1・2で考えた内容を埋めていけば、
自然と、流れのある自己PRが1本完成します。
書く時のポイントはこのあたりです。
・②の「この強みが表れているのは〜」の一文を入れると、話がつながりやすい
・③のエピソード部分は、
「いつ」「どこで」「何をしたか」「どんな工夫をしたか」「結果どうなったか」を入れるつもりで書く
・④の「仕事での活かし方」まで書くと、「採用したい理由」がイメージしやすくなる
高校生向け自己PRの例文集
ここからは、高校生の就活や面接でそのまま使えるイメージの自己PR例文を紹介します。
まずは雰囲気をつかんでから、自分の経験に置き換えてアレンジしてみてください。
- 丸写しではなく「数字」「部活名」「エピソード」は必ず自分用に変更
- 強みの言い方だけ借りる・構成だけマネする、という使い方が◎
- 履歴書にも面接にも、そのまま使える長さを意識
例文① 部活でアピールする「継続力・粘り強さ」
私の強みは、目標に向かってコツコツ努力を続ける継続力です。
私は高校3年間、サッカー部に所属し、レギュラーを目指して練習に励んできました。1年生の頃は試合に出られず悔しい思いをしましたが、基礎練習を毎日30分追加したり、先輩に動き方を教わったりしながら、自分なりに課題を見つけて練習を続けました。雨の日でも自主練を欠かさず続けた結果、3年生の最後の大会ではスタメンとして出場し、チームのベスト8進出に貢献できました。
この経験から、すぐに結果が出なくてもあきらめずに努力を続けることの大切さを学びました。御社で働く上でも、この継続力を活かして、一つひとつの仕事に粘り強く取り組み、少しずつ成長し続けていきたいと考えています。
使えるポイント
- 「3年間」「毎日30分」「ベスト8」など、具体的な数字を入れている
- 強み → エピソード → 学び・仕事での活かし方、の流れになっている
例文② アルバイトでアピールする「コミュニケーション力・責任感」
私の強みは、相手の立場に立って考えながら行動できるコミュニケーション力です。
私はスーパーのレジのアルバイトを1年半続けています。最初の頃は作業で精一杯でしたが、「どうすればお客様に気持ちよく買い物を終えてもらえるか」を意識するようにしました。ご年配のお客様には袋詰めを手伝ったり、急いでいる様子のお客様にはスムーズな会計を意識したりと、表情やしぐさを見て声かけを変える工夫をしました。その結果、「いつもありがとう」「あなたがいると安心して並べる」と声をかけてもらえることが増え、店長からも接客を評価していただきました。
この経験を通して、ただ作業をこなすだけでなく、相手の目線で考えて行動することの大切さを学びました。御社でも、お客様や先輩方の立場を意識しながら、信頼して仕事を任せてもらえる人材を目指したいと考えています。
使えるポイント
- 高校生でもできる内容で、就職後の接客・サービス業にもつながる話になっている
- 「1年半続けている」など、継続期間を入れると信用度アップ
例文③ 勉強・資格でアピールする「計画性・学ぶ姿勢」
私の強みは、目標に向けて計画を立て、継続して学習できる点です。
高校2年生のときに、簿記検定3級の取得を目標にしました。部活動との両立が必要だったため、まずは試験日から逆算して勉強計画を立て、平日は毎日30分、休日は2時間を簿記の勉強にあてると決めました。理解できていない部分は先生に質問したり、インターネット教材を活用したりしながら、計画を少しずつ調整していきました。その結果、初めての受験で合格することができ、自分の努力が形になったことに大きな達成感を得ました。
この経験から、時間が限られていても、計画的に取り組めば目標を達成できることを学びました。入社後も、新しい知識や仕事を前向きに学び続け、必要なスキルを自分から吸収していきたいと考えています。
使えるポイント
- 「簿記」「英検」「漢検」など、資格名を自分のものに置き換えれば使いやすい形
- 高校生の自己PRで企業が重視する「学ぶ姿勢」「基礎学力への意欲」が伝わる
これらの例文は、「高校生 就活 自己PR」の王道パターンを押さえつつ、
どれも 強み → エピソード → 学び・活かし方 の形になっています。
あとは、ここで紹介した型と表現をベースに、あなたの部活・クラス・アルバイト・勉強のストーリーに入れ替えていけばOKです。
自己PRづくりのまとめと、今日からできる一歩

最後に、ここまでの内容を“就活にすぐ使える形”でぎゅっと整理します。
自己PRで大事なことは、この3つだけ
- 強みを一言で言い切る
「私の強みは〇〇です。」を、最初の一文でハッキリ言う。 - エピソードは1つにしぼって深く書く
あれこれ並べず、「自分らしさが一番出る経験」を選ぶ。 - 仕事でどう活かすかまでつなげる
「その強みを、この会社でこう役立てたい」まで書く・話す。
書く前にチェックしておきたいこと
自己PRを書き終えたら、次の4つをサッと見直してみてください。
- 最初の一文で、強みがハッキリ分かるか
- 「強み → 具体例 → 学び・活かし方」の流れになっているか
- 「毎日30分」「3年間続けた」など、具体的な数字が入っているか
今日からできる“自己PRづくり”の小さな一歩
- ノートやスマホに
「頑張ったこと」「人からほめられたこと」を10個書き出してみる - その中から「一番自分らしい」と思うものを1つ選ぶ
- このテーマで、テンプレにそってまずは下書きを作ってみる
完璧な文章じゃなくて大丈夫です。
高校生活で積み重ねてきたことを、少しずつ「言葉の形」にしていくことが、就活の第一歩になります。