公開日: / 更新日:
高校生を採用する場合、大卒を採用する時と違い様々な規則が存在します。
今回はその中でも、近年制度が変更されて注目をされている「一人二社制」という制度について解説していきます。
一人二社制を導入した背景や、変更に伴い採用側で注意するポイント、高校生や進路指導の先生を惹きつける求人票の書き方など詳しく解説していきます。
一人二社制を導入した背景とは

一人一社制は、一定の期間に同時に応募できる企業を1社とする運用です。一人二社制などの複数応募については、開始時期・応募社数・対象となる求人が都道府県や年度によって異なります。
高卒就職は長年、生徒が就職活動を行う際に学業への影響を軽減するために、一人一社のみ応募できる「一人一社制」を採用していました。
制度を確認するときは、高校生が比較・選択できる機会と、学業への配慮の両方を考えることが大切です。変更の背景や適用条件は各地域の公式資料で確認しましょう。
採用方法は都道府県によって違う

以下の資料は2025年3月卒業者向けの過去の情報です。現在の応募ルールとして流用せず、対象卒業年度の資料を確認してください。
| 9月から一人二社制または複数応募可能 | 秋田・茨城・大阪・和歌山・沖縄 |
| 10月から一人二社制または複数応募可能 | 青森・岩手・宮城・山形・福島 他25都府県 |
| 11月から一人二社制または複数応募可能 | 北海道・新潟・富山・石川・岐阜 他7県 |
【2026年9月27日確認】愛知県の2027年3月卒業予定者では、指定校求人は10月31日まで一人一社、11月1日以降は一人二社まで。指定校以外の公開求人のうち複数応募可の求人に限り、9月16日から一人二社まで応募できます。指定校求人と公開求人を1社ずつ組み合わせることはできません。愛知労働局の案内で条件を確認してください。
企業側も、求人を提出する地域のルールがどうなっているのかを確認し、そのルールに従って求人を提出しましょう。
一人二社制へ変更後に注意するポイント

複数応募が可能でも、制度の変更だけで人材確保や離職の増減が決まるわけではありません。仕事内容・労働条件・育成体制を具体的に伝え、高校生が比較できるようにしましょう。
そのため企業側では、積極的にインターンシップや職場見学の機会を設けたり、求人票を作成する際に高校生が誤解を招きやすい表現を避けることで、早期退職者数を減らすことができます。
また、高校生は希望する企業から内定を得た場合や、先に内定を獲得した企業への入社を決めた場合、内定辞退や選考辞退が発生しやすくなるため、採用選考が例年よりも長期化する可能性が高まります。
そのため企業側では、あらかじめ採用スケジュールを設定し、応募から採用までの期間をスムーズに行えるように努める必要があります。
一人二社制を導入後の就職内定率は?

厚生労働省が発表した「令和6年度高校・中学新卒者のハローワークに係る求人・求職・就職内定状況」によると、下表の過去の全国集計では就職内定率が推移しています。制度変更との因果関係を示した統計ではありません。
| 対象年 | 9月末時点の就職内定率 | 9月末時点の求人倍率 |
|---|---|---|
| 2022年(令和4年)3月卒 | 62% | 2.66倍 |
| 2023年(令和5年)3月卒 | 62.4% | 3.29倍 |
| 2024年(令和6年)3月卒 | 63% | 3.79倍 |
| 2025年(令和7年)3月卒 | 63.2% | 3.91倍 |
2024年9月時点(一次募集期間内)で高校生の就職内定率は63.2%で、求人倍率は3.91倍となっています。
この表は過去の全国集計です。地域ごとに制度変更の時期が異なり、求人動向などの影響もあるため、内定率の変化を一人二社制の効果とは断定できません。現在の採用計画には対象年度・地域の最新統計を使いましょう。
全国の過去の内定率から、自社への応募数や採用成功率を直接予測することはできません。学校・ハローワークと情報を共有し、募集状況に応じて計画を見直してください。
求人票の書き方

一人二社制に変更となったことで、他社との競争も激しくなるため、企業側としても高校生や進路指導の先生が魅力的だと感じる求人票を書かなくてはなりません。
高校生や進路指導の先生が求人票を閲覧する際に、注目する項目は「仕事の内容」「必要な知識」「賃金等」「就業時間」「休日等」です。
以下のポイントを抑えて、魅力的な求人票を作成しましょう。
専門的な用語は避ける
誤解を招きやすい表現は避ける
イメージが湧きやすいように丁寧に記載する
専門的な用語は避ける
高校生や進路指導の先生にとって、ビジネス用語や専門的な言葉は難しく感じることがあるため、わかりやすい言葉でできるだけシンプルに記載するようにしましょう。
先生の中には、企業への就職経験が少ない人や横文字が得意でない人もいるため、情報を伝える際は、すべての人が理解できるようにすることが重要です。
誤解を招きやすい表現は避ける
高校生用の求人だけに限らず、すべての求人票において記載できる表現にはルールがあります。
「男性限定」「健常者限定」など性別や健康状態について触れた表現を記載すると、男女雇用均等法や障害者雇用促進法に触れてしまうため、「元気な男性を募集します」など誤解を招きやすい表現は避けるようにしましょう。
イメージが湧きやすいように丁寧に記載する
求人票を閲覧する高校生や進路指導の先生が、イメージをしやすい内容を記載するように心がけましょう。
例えば、仕事の内容欄に「自社で製造した商品を販売するお仕事です」と記載した場合、BtoBなのかBtoCなのかわかりません。
そのため、「自社で製造した〇〇を一般のお客様へ販売するお仕事です」のように、より詳しく具体的にイメージできるよう、丁寧に記載をしましょう。
2027年3月卒業予定者の採用スケジュール
.png)
以下は2027年3月卒業予定者について、厚生労働省が案内する採用選考日程です。
【令和9年(2027年)3月新規高等学校卒業予定者の採用選考期日等】(引用:厚生労働省)
ハローワークによる求人申込書の受付開始(※) 6月1日
企業による学校への求人申込及び学校訪問開始 7月1日
学校から企業への生徒の応募書類提出開始 9月5日(沖縄県は8月30日)
企業による選考開始及び採用内定開始 9月16日
※高校生を対象として求人については、ハローワークにおいて求人の内容を確認したのち、学校に求人が提出されることとなります。
高校新卒採用の場合、必ずハローワークへ申請を行い求人票を登録・発行した後、ハローワークから確認印を押印された求人票を受け取って高校へ提出・郵送をします。
そのため、企業側が直接高校生へ連絡して採用選考を進めることは禁止です。
一人二社制変更によって変わる企業の動き
追加募集を行える時期と、複数応募が可能になる時期を混同しないことが重要です。求人の継続・変更手続きと応募ルールは、学校・管轄ハローワークに確認します。
採用の充足状況を早めに整理し、追加募集が必要な場合は学校・ハローワークと相談して準備を進めましょう。
なお、北海道など一部の地域では、企業説明会で応募する場合について期間にとらわれず、一人二社以上可能としているところもありますので、求人を提出する地域を管轄するハローワークで事前に確認をしておくと良いでしょう。
まとめ

今回は、高卒の採用ルールの一つである「一人二社制」について解説してきました。
一人二社制は、生徒一人につき企業へ応募できる数が二社になるという制度です。
一人一社制から複数応募への変更内容は、地域ごとに確認が必要です。全国一律に一人二社へ切り替わったわけではありません。
対象卒業年度・都道府県・指定校求人か公開求人かを確認して、社内で対応方針を共有しましょう。
過去の全国内定率は市場を知る参考にはなりますが、自社の採用可能性を直接示すものではありません。
効率的且つ魅力的なアピールができるよう、求人票は専門的な用語を避け、誤解を招きやすい表現は避けるなどし、有能な学生が来てくれるようにしましょう。
採用結果を早めに整理し、追加募集が必要なら、地域のルールに沿って学校・ハローワークと調整しましょう。